2023.03.01

 

コーチングというスキルが気になっている人の中には、知識を書籍で身につけて、企業経営に役立てようと考えている経営者や経営幹部の方も多いのではないでしょうか。

しかし、コーチングを書籍で身につけるといっても、基本編から実践編までさまざまな書籍があり、どの本を選ぶべきか悩んでいる人もいらっしゃることでしょう。

そこでこの記事では、コーチングとは何なのかといった内容から、コーチングスキルを身につけるメリットを解説したうえで、目的に合わせたおすすめの本を12冊紹介します。

コーチングとは？

コーチングとは、対話を通じて、クライアントの潜在能力を引き出し、個人の成長や目標達成を支援するプロセスです。コーチは、現状や目標を理解し、クライアント自身が気づいていない潜在能力を引き出すための質問を投げかけつつ、クライアントが自ら考え行動できるよう、サポート役として寄り添います。そうすることでクライアントは、自分の考えや本心に気づき、自ら行動を起こすための意欲を高められるのです。

このようにコーチングは、主体的に成長し目標達成に向けた取り組みを行うことを目指す手法です。

コーチングを学ぶことで得られるメリット

コーチングは、個人の成長や能力開発に役立つ有効な手段です。コーチングを学ぶことで、以下のようなメリットが得られます。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

対人コミュニケーション能力が向上する

コーチングでは、対話を通じて、潜在能力を引き出します。そのためには、相手の話をよく聞き理解することが重要です。

また、相手の考えや気持ちを引き出すための質問力も必要となります。コーチングを学ぶことで、これらのスキルを身につけられます。このスキルは普段の日常生活におけるコミュニケーションにおいても大いに役立つはずです。

たとえば、上司・部下との人間関係において、相手の話をよく聞き理解することによって、よりよいコミュニケーションが取れるようになるでしょう。

ポジティブシンキングが身につく

コーチングでは、クライアントの強みや長所に目を向けます。そのため、相手の長所や可能性を常に肯定的に捉える姿勢が身につくため、結果的にポジティブな思考が身につくようになります。ポジティブシンキングが身につくことにより、物事を前向きに捉え、目標達成に向けて前進する力も身につくのです。

たとえば、実現困難な仕事上の課題に直面したときでも、ポジティブな思考を保つことで、その状況を乗り越えるための行動を起こしやすくなるでしょう。

目標達成力がつく

コーチングは、クライアントの目標を明確にしてあげたうえで、自らの力で実現するための行動を促進します。これにより、クライアントは目標達成に向けた必要なステップを自ら考え整理しやすくなるのです。

しかし、目標を実現させる力が身につくのは、クライアントだけではありません。コーチングを通してクライアントの具体的な目標を設定し、それを達成するためのサポートを行うことで、自身をクライアントに見立てる形で自分自身の目標達成も実現しやすくなるのです。

コーチングを学べる！目的別おすすめの本12冊

コーチングはさまざまな分野で役立つスキルです。学ぶ目的や活用方法により、さまざまな効果をもたらすコーチングについて、書籍から学びたい人に向けて、以下の目的別におすすめの本をご紹介します。

自身のニーズに最適な書籍を見つけてください。

基本を知りたい方向けにおすすめの本

コーチングの基本を知りたいという人には、『新版 コーチングの基本』がおすすめです。この本では、「コーチングとは何か」といった基本的な情報だけでなく、「コーチングの原則」「コーチングプロセス」「コーチングスキル」などを体系づけて学べます。人材開発から組織開発へ変わりつつある現代のビジネス社会における、最新事例も盛り込んで解説している書籍です。

漫画で楽しみながら学びたい方向けにおすすめの本

漫画で気軽に学びたいという方には、『マンガでやさしくわかるコーチング』をおすすめします。本書では、コーチングの手順やポイント、必要なスキルを、漫画のストーリーを通して学べます。

本書は、基本的なステップに沿って漫画を通して解説しているので、まったくの初心者でも、楽しみながら読み進められるでしょう。

また、手順やスキルを、基本から体系的に学びたい人にもおすすめです。日常生活や仕事での体験の一部をリアルに漫画で表現していて、読者自身の生活に当てはめて読み進められる内容となっています。

コーチングを網羅的にしっかり理解したい方向けにおすすめの本

本質を理解し、実践を踏まえて身につけていきたい方には、『コーチング・バイブル』をおすすめします。本書は、コーアクティブ・コーチングの体系的な解説書となっており、コーアクティブ・コーチングの概要、スキル、プロセス、実例、演習といった内容を網羅的に解説しています。

コーアクティブ・コーチングとは、コーチとクライアントが協力して目標達成を目指す手法です。本書では、コーチングに必要な5つの資質(傾聴、直感、好奇心、行動と学習、自己管理)についても、体系的に解説されています。抽象的な表現もあり理解が難しい箇所もありますが、コーチングについて体系的に学びたい人や、コーチングのスキルを高めたい人におすすめです。

スキルを身につけたい方向けにおすすめの本

コーチングの幅広い知識より具体的なスキルを身につけたいという人には、『コーチング・マネジメント』がおすすめです。この本では、経営者や経営幹部などのマネジメント層が抱える課題に対して、コーチングの本質から応用まで網羅的にわかりやすく解説しています。

また、コーチングを理解したいという一般の読者だけでなく、プロのコーチを目指す人も対象にしており、「現役コーチのためのチェックリスト」「コーチのコア・コンピタンシー」といった、より実践的な内容を解説してくれているページもあります。

コーチングを事業に取り入れたい方向けにおすすめの本

簡単に実践できるコーチングのスキルを身につけたい人には、『3分間コーチ ひとりでも部下のいる人のための世界一シンプルなマネジメント術』がおすすめです。忙しい経営者や経営幹部が、コーチングを日々の業務に取り入れることはなかなか容易ではありません。この本では、忙しい経営者や経営幹部でも取り入れられる、自然と続けられるコーチングのスキルについて解説しています。

タイプ別に合わせたい方向けにおすすめの本

クライアントのタイプに合わせた効果的なコーチングを行いたい人には、『図解 コーチング流タイプ分けを知ってアプローチするとうまくいく』がおすすめです。この本では、人のタイプをコミュニケーションのスタイルから4つに分類し、それぞれに合ったコーチングのスキルについて解説しています。コーチングを実践したものの、うまく効果が得られない場合は、相手のタイプに合っていない可能性があります。この本を読めば、そのような課題を解決できる可能性が高まるでしょう。

「考えさせる」指導法を身につけたい方向けにおすすめの本

プロ野球の投手コーチとして、大谷翔平選手をはじめとする多くの選手を育ててきた吉井理人氏による『最高のコーチは、教えない。』は、コーチングを行うためのスタンスとスキルを両方学べる1冊です。

コーチングとは、相手に教え込むのではなく、相手が自ら考え、成長していくためのサポートを行うことです。本書では、コーチングにおいて、なぜ「教える」ではなく「考えさせる」ことが重要なのか、その理由を解説しています。

くわえて、基本的なスキルである「傾聴」「質問」「フィードバック」についても、具体的な例を交えて説明しています。

また、本書は野球選手やアスリートのための指導本ではなく、ビジネスにも有益です。コーチングの本質を学びたい人や、深いスキルを身につけたい人におすすめです。

エグゼクティブコーチングを詳しく知りたい方向けにおすすめの本

経営者や経営幹部向けのエグゼクティブコーチングを知りたい人には、『エグゼクティブ・コーチング入門』がおすすめです。一般社員向け、経営者や経営幹部向けなど、さまざまなコーチングがありますが、本書では、会社を成功へと導くリーダーが求めているコーチングの知識が解説されています。経営者や経営幹部などのマネジメントに関連する人は、読んでおくべき1冊といえるでしょう。

また、エグゼクティブコーチングについては、以下の記事でも解説していますので、参考にしてみてください。

参考：エグゼクティブコーチングの効果とその必要性を解説

すぐに実践したい方向けにおすすめの本

あまり知識を身につける時間がなく、すぐに実践したいという人には、『新 コーチングが人を活かす』がおすすめです。本書では、簡潔にわかりやすく具体的に実践できる62のスキルを解説しています。

また、巻末にはスキルをケース別に逆引きできるように、状況ごとの役立つスキルを整理してくれているため、使い勝手に優れた本といえるでしょう。

具体的なアプローチを知りたい方向けにおすすめの本

コーチングを実践する場合に、具体的なアプローチの方法を知りたい人には、『コーチングマニュアル』がおすすめです。コーチングは、一度実践すればいいというものではなく、継続的に取り組む必要があります。この本では、コーチングの始め方から実践、終わり方までをわかりやすく解説しています。コツや留意点もまとめられているため、より効果の高いコーチングを求めている人はぜひ読んでおくべき本といえるでしょう。

学んだコーチングをうまく使えるようになりたい方向けにおすすめの本

コーチングの技術や手法を学んでも、実践できなければ意味がありません。『目からウロコのコーチング なぜ、あの人には部下がついてくるのか?』という書籍は、コーチングの枠組みを超えて、広範なコミュニケーションに適用できるアプローチを提供しています。コーチングは、スキルを身につければすぐ活用できるものではなく、相手の心に響くアプローチができないと、真のコーチにはなり得ません。本書では、そのようなユニークな視点を提供し、日常生活で実用的なコーチングの要点を解説しています。

また、コーチングを学ぶためのケーススタディや、うまくいかない理由と対策方法についても詳しく説明しています。初めてコーチングに興味を持つ人にも読みやすい1冊で、日常生活や仕事で実用的なスキルを身につけたい人におすすめです。

セルフコーチングに取り組みたい方向けにおすすめの本

セルフコーチングは、自分自身を対象としたコーチングの手法であり、コーチとクライアントを一人二役で行う手法です。『セルフ・コーチング入門 第2版』は、投げかける質問によって導かれる答えが変わってくる、という前提のもと、自分に質問するためのさまざまなワークシートを用意しています。本書では、「立志表」「価値観リスト」「未来予想図」といった書き込めるワークシートを使い方とともに紹介しており、さまざまな視点から自分をあぶり出し、見つめ直すことができます。自分の人生や仕事のことをじっくり考えたい人や、転職など人生の岐路に立っている人は、本書を活用して、セルフコーチングで自分を見直し、自己成長につなげることができるでしょう。

コーチングを本で学ぶときに注意すること

コーチングを本で学ぶことは、コーチングの基礎知識や考え方を身につけるうえで非常に有効です。

しかし、コーチングの理論や手法は数多くあるのと、本だけで実践力を身につけるのは難しいことは理解しておきましょう。

コーチングを本で学ぶ際は、以下の点に注意してください。

著者によって理論や手法が異なる

コーチングを本で学ぶ際に重要な点のひとつは、著者によって提供される理論や手法が異なることです。コーチングは多くのアプローチやスタイルが存在し、それぞれの著者や専門家が独自の視点を持っています。

たとえば、ある本では対話型のアプローチが強調され、別のある本では質問のテクニックが焦点になるかもしれません。

したがって、コーチングを本で学ぶ際には、異なる著者の視点やアプローチを理解し、自分に合ったものを選択する必要があります。

本だけでは実践が難しい

コーチングの知識を身につけたい人におすすめの本を12冊紹介しましたが、中途半端な知識で実践に移すと、状況が悪化する可能性が高いので注意が必要です。本を読んで知識を身につけることは大切ですが、社内で抱えている課題をスムーズに解決したい場合には、コーチングを提供している企業や個人に依頼した方が、満足のいく結果を得られることが多いでしょう。外部に依頼するための費用はかかりますが、コーチングの効果が期待できるはずです。

コーチングの依頼費用については、以下の記事で解説していますので、参考にしてみてください。

参考：エグゼクティブコーチングはいくらかかる？料金相場を解説

まとめ

コーチングの知識を書籍で身につけて、それを社内に取り入れようと考えている経営者や経営幹部も多いと思います。

しかし、コーチングの知識を身につけると一口にいっても、コーチングに関する本は多く、どの本を読めばいいか簡単にはわかりません。

この記事では、コーチングとは何なのか、コーチングスキルを得ることによるメリットは何なのかを理解したうえで、目的に合わせたおすすめの本を12冊ピックアップしました。

ただ、本で得られた知識だけでコーチングの効果を得ることは容易ではありません。とくに、企業経営者や幹部向けのエグゼクティブコーチングとなるとなおさらです。確実な効果を求める場合は、エグゼクティブコーチングを専門的に行っている企業や個人に依頼することをおすすめします。